坂口恭平トークライブ「DIY独立国家の作り方」

東京で路上生活の達人たちのフィールドワークを通じて、お金を媒介させず、自らの手で作り出す住居の多様性、豊かさを記録・収集した「０円ハウス」や、毎日の生活で出されるゴミを「都市の幸」と捉えなおし、０円で生き抜く身体知の数々を紹介する「ゼロから始まる都市型狩猟採集生活」等の著作から、建築の枠を超えて、私たちの生活・経済のあり方を零（ゼロ）の地平からから問い直す思考・作品を生み出し続けている在野の建築家・作家、坂口恭平が、福岡で初の単独トークライブを行います。

坂口恭平は、これまで建築家、作家、アーティストとして、既存の社会システムに対して、自らその矛盾の中に飛び込み、そこに眠っているいくつもの異なる社会の層（レイヤー）を発見を通して、資本主義世界の内部から全く異なる経済・社会形態をゼロから生み出す可能性を探求し、実現していくための方法論を空間化、言語化、視覚化してきました。

思考と行動の同時並行性と、創造と現実の多層性を往還しながら、新しい社会や生き方を実際に想像/創造していく彼の方法は、既存の社会システムや価値観が崩れていく中で、私たちがこれから生き延びていくために必要不可欠な21世紀の「野生の思考」だと言えるでしょう。

今回は、東日本震災後に東京から熊本に移り住んだ後に立ち上げたゼロセンターでの避難計画や、そこから生まれた、「新政府構想」と「態度経済」という２つの実験的思考・実践をもとに、自分たちの手で「独立国家」を作るという大胆不敵で、革命的なDIY(DO IT YOURSELF)の技法をレクチャーしていきます。各人が、それぞれの才能や技術を直接的に交換し、独立して生きていく社会は、どのように実現可能か？震災後、自らを新政府初代内閣総理大臣と命名し、新しい社会を創造（Create)する仕事に着手した坂口恭平が、皆さんに自分たちの手で独立国家を作るためのイロハをお教えします。

坂口恭平（新政府初代内閣総理大臣/建築家/アーティスト/作家）
1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、2004年に日本の路上生活者の住居を収めた写真集『０円ハウス』（リトルモア）を刊行。2006年カナダ、バンクーバー美術館にて初の個展、2007年にはケニアのナイロビで世界会議フォーラムに参加。2008年、隅田川に住む路上生活の達人・鈴木さんの生活を記録した『TOKYO ０円ハウス ０円生活』（大和書房刊）を刊行し、翌2009年には自身も実際に多摩川生活を経験する。他の著作に『隅田川のエジソン』（青山出版社）、『TOKYO一坪遺産』（春秋社）などがある。2011年より、熊本に移住し、ゼロセンターを開設。初代内閣総理大臣として、「新政府構想」を立ち上げると共に、東日本からの避難計画、福島の子供たちを熊本に滞在させる「０円サマーキャンプ」を展開中。
　

江上賢一郎（Independent Researcher / Photo Activist)
1980年福岡県生まれ。早稲田大学、ロンドン大学ゴールドスミス校、文化人類学修士課程修了。イギリス留学中より、アートとアクティヴィズム、贈与経済、オルタナティヴな自律空間について調査、研究を始める。2011年より坂口恭平主催の零塾、塾生。2011年9月に韓国、釜山で行われる、Busan Public Art Projectの共同ディレクター。